研究シーズの概要
岡﨑研究室では、主として鉄筋コンクリートを対象とした研究を行っています。今後、供用が50年を超え、老朽化したコンクリート構造物が飛躍的に増加する現状において、効果的で効率的な維持管理手法の確立が求められており、以下の様な研究を行っています。構造性能および材料性能に関する実験および数値解析の両面からのアプローチを行っています。
- コンクリート構造物に生じたひび割れ幅による内部応力状態評価と残存耐力評価
- 非破壊検査によるコンクリートの品質評価と劣化予測手法の構築
- コンクリート構造物の劣化に関するリスク評価
- 環境にやさしい革新的補修工法の確立
技術の紹介
目視調査および非破壊検査によりコンクリート構造物の余寿命を評価
鉄筋コンクリート構造物は、物理的・化学的作用によりコンクリートにひび割れが生じたり、鉄筋が腐食したりして、劣化します。劣化したコンクリート構造物は建設当初に有していた性能を失っており、自重や自動車等の活荷重、地震時による荷重の作用により想定以上の被害を受ける可能性があります。したがって、経年劣化した構造物が健全であるか、補修・補強が必要であるかどうかをジャッジするためには、各種調査によってコンクリートが受けた損傷を定量的に評価し、その結果から残存する性能を推定しなくてはなりません。
岡﨑研究室では、例えば塩害により鉄筋が腐食し、その影響で発生したコンクリートのひび割れ幅から鉄筋の腐食量と部材に残存する耐荷性能を推定する手法、アルカリ骨材反応(ASR)と呼ばれる、コンクリートの膨張反応によってコンクリートにひび割れが生じたときの、コンクリートの膨張量を推定し、内部の鉄筋の応力状態と外力に対する安全性を評価する手法など、目視調査によって得られる情報からコンクリートの性能を評価する手法の確立を行っています(図1)。
非破壊検査によるコンクリートの品質評価と劣化予測手法の構築
劣化の将来予測のために、コンクリートの密実性を非破壊検査により評価する手法についても検討を行っています。コンクリート中の気体の透過性から塩分の浸透抵抗性を評価する手法についても検討を行っています。
さらに、現場で得られるコンクリート破片から、コンクリートの強度、塩分等の物質移動抵抗性を評価できる手法についても検討しています。
環境にやさしい革新的補修工法
ひび割れが生じた構造物の補修において、環境負荷が低く、効果的に行うための革新的技術についての検討を行っています。