トップ注目研究パーキンソン病治療における脳内薬物インフュージョンシステムの開発(後藤惠)
カテゴリー 医学、基礎、臨床
代表研究者 後藤 惠
関連する研究者   森垣 龍馬   牟礼 英生   笠原 二郎   梶 龍兒
永廣 信治
研究概要

パーキンソン病 (Parkinson Disease, PD) は日本では推計10万人以上の患者を有する難病指定疾患である。

PD治療の第一選択肢は薬物療法でありL-DOPAがその主役を担うが長期投与に伴い薬効減退や薬物誘発性ジスキネジア、精神症状などの副作用が高率に出現する。この治療上の問題の多くはドパミン受容体過剰刺激に伴う線条体機能異常に起因し、一方向性のドパミン補充療法ではこの治療矛盾ともいうべき問題を解決できない。現行の薬物治療の補完療法としてDBSなどの外科治療もあるがその治療効率・永続性は限定的である。

私たちはPDモデルマウスを用いた研究で、GNAL遺伝子がコードするolfactory type G-protein  subunit (Golf)の線条体発現異常がL-DOPA誘発性ジスキネジアを惹起することを見出した (Font Cell Neurosci, 2017;11:26)。L-DOPA投与による線条体Golfレベルの異常は利用率依存性 (usage-dependent)であり、これにはNMDA受容体機能亢進が関与している。

本研究では、任意の薬物を任意の脳内部位に持続投与ができる容量可変式ドラッグデリバリーシステム(Drug Delivery System)として脳内薬物インフュージョンシステム(Intra-Cerebral Drug Infusion System) を用い、線条体運動関連領域に選択的にドパミンまたNMDA受容体拮抗薬を慢性持続投与する治療法を開発する。これは線条体のドパミン感受性賦活と同時にジスキネジア抑制をもたらす画期的なPD治療法になり得る。また、脳内薬物インフュージョンシステムはPDのみならずジストニアなどの難治性大脳基底核疾患の新規治療法としても応用可能である。

 

■ 連携する学外機関

Massachusetts Institute of Technology

 

■ 研究終了後の成果(見込み)

脳内インフュージョンシステムの開発は、全身投与では使用制限のある既存あるいは新規の神経薬物によるパーキンソン病治療を可能にする。また、この新しいドラッグデリバリーシステムはパーキンソン病のみならずジストニアなどの難治性神経疾患の新規治療法としても応用可能である。

 

研究クラスターNo.1702004
https://cluster.tokushima-u.ac.jp/new-cluster-list/768.html

研究者の役割分担 後藤恵:(クラスター長)研究の統括・実験研究・データ解析
森垣龍馬:動物モデル作成・組織・行動解析
牟礼英生:動物モデル作成・組織・行動解析
笠原二郎:動物モデル作成・生化学的解析
梶龍兒:実験データ解析・治療効果判定評価
永廣信治:実験データ解析・治療効果判定評価
Ann M Graybiel:実験データ解析・生理学的解析
研究期間 2017年4月1日〜2020年3月31日
産業界へのメッセージ パーキンソン病治療での新しい治療手段として、脳内インフュージョンシステムを用いた脳内局所薬物投与法を研究している。この手法によって、以下のような問題点を有する既存薬物の臨床応用可能性についての研究を行っている。
 ・全身投与では他臓器に副作用が出現し投与量が制限される薬物
 ・全身投与では脳内移行が乏しく十分な脳組織内薬物濃度が得られない薬物

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