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山口 裕之
徳島大学
2024年12月20日更新
- 職名
- 教授
- 電話
- 088-656-7615
- 電子メール
- yamaguti@tokushima-u.ac.jp
- 学歴
- 1994/3: 東京大学文学部卒業
1994/4: 東京大学大学院人文社会系研究科哲学専門分野入学
1996/3: 東京大学大学院人文社会系研究科哲学専門分野修士課程修了
1996/4: 東京大学大学院人文社会系研究科哲学専門分野博士課程進学
1999/3: 東京大学大学院人文社会系研究科哲学専門分野博士課程単位取得退学
2002/7: 博士(文学)取得(東京大学大学院人文社会系研究科第361号) - 学位
- 博士(文学) (東京大学) (2002年7月)
- 職歴・経歴
- 2000/1: 日本学術振興会特別研究員採用
2002/4: 成城大学文芸学部非常勤講師
- 専門分野・研究分野
- 哲学 (Philosophy)
2024年12月20日更新
- 専門分野・研究分野
- 哲学 (Philosophy)
- 担当経験のある授業科目
- アカデミック・ライティング (大学院)
コース入門講座 (学部)
コース配属ガイダンス (学部)
一年生オリエンテーション (学部)
卒業研究 (学部)
哲学演習I (学部)
哲学演習Ⅱ (学部)
国際教養コースゼミ配属ガイダンス (学部)
国際教養コース入門講座 (学部)
国際教養コース卒業研究提出 (学部)
国際教養コース連絡 (学部)
国際教養演習Ⅰ (学部)
国際教養演習Ⅱ (学部)
地域創成特別演習 (大学院)
大学とイノベーション (共通教育)
応用倫理学特論 (大学院)
現代科学論研究 (学部)
総合科学の基礎C(哲学・思想の基礎) (学部)
総合科学入門講座 (学部)
課題発見ゼミナール (学部)
課題発見ゼミナール総論 (学部) - 指導経験
- 1人 (学士)
2024年12月20日更新
- 専門分野・研究分野
- 哲学 (Philosophy)
- 研究テーマ
- 研究者総覧に該当データはありませんでした。
- 著書
- 山口 裕之 :
「みんな違ってみんないい」のか?相対主義と普遍主義の問題,
筑摩書房, 2022年7月.- (要約)
- 「正しさは人それぞれ」といって他人との関係を切り捨てるのでもなく,「真実は一つ」といって自分と異なる考えを否定するのでもなく,事実と論理にもとづいて異質な他者とともに「正しさ」を作っていくことの必要性・重要性を主張した.
一瞬の形態を固定する―ベルクソン論,
株式会社 読書人, 2019年10月.- (要約)
- 2016年に61歳で夭折した科学史家金森修のフランス語論文の翻訳.ベルクソンが「持続」を重視したのに対抗して,ダゴニェやアランの空間中心主義的な立場により科学的に重要な知見が得られることを主張したもの.
語源から哲学がわかる事典,
日本実業出版社, 2019年7月.- (要約)
- 知性・理性・感性,存在・実在・本質など,哲学の基本用語について,ギリシア哲学にさかのぼって語源や意義を解説した.第1章哲学,第2章認識,第3章存在論,第4章神学,第5章認識論とし,哲学用語の変遷を見ていくことで,哲学史の全体像が把握できるようにした.
- (キーワード)
- 哲学 (philosophy) / 語源 / 事典
「大学改革」という病, --- 学問の自由・財政基盤・競争主義から検証する ---,
明石書店, 東京, 2017年7月.- (要約)
- この本は,昨今の大学改革における論点を整理し,改革を推進する側と批判する側がそれぞれ前提としている考え方について,その根拠や正当性を再考することで,「大学とは何か・今後どうあるべきか」を考えるための手がかりを与えようとするものである. 大学は孤立して存在しているのではなく,高校や中学など他の教育機関,学生が就職する企業や教員の研究成果を商品化する企業,予算を補助するが口も出す政府など,他の制度や機関と複雑に絡み合って存在している. そこで本書では,下記の目次のように,できるだけ多面的に大学やそれを取り巻く社会的・歴史的構造を考察し,大学を含む社会全体のあり方について考えていく. 目次 第1章 日本の大学の何が問題なのか――大学改革の論点と批判 第2章 なぜ巨額の税金を使って「学問の自由」が許されるのか 第1節 ウニヴェルシタス――中世社会に花開いた自治的組合 第2節 近代国家の形成と大学の変質 第3章 大学の大衆化と「アカデミック・キャピタリズム」 第1節 大学の大衆化と機能分化 第2節 一九八〇年代以降の展開 第4章 選抜システムとしての大学 第1節 大学入試改革の過去と現在 第2節 そもそも,なぜ日本の大学には入学試験があるのか 第3節 大学で職業教育は可能か 第4節 どんな職業に就いても(あるいは就けなくても)生きていける社会を 第5章 競争すればよくなるのか 第1節 教育は競争で改善するか 第2節 研究は競争で改善するか おわりに――大学になにができ,なにができないか
コンディヤック『論理学 考える技術の初歩』,
株式会社 講談社, 2016年7月.- (要約)
- 18世紀フランスを代表する啓蒙思想家コンディヤックの晩年の著書の全訳(本邦初訳). 本書は大きく二部に分かれており,第一部では人間が持つすべての知識は感覚に由来するという経験論哲学の思想が簡潔に述べられている.また人間は知識を得るときには対象を自然に分析するということが主張されている.分析とは,対象をよく観察してその構成要素を見て取り,次いでその構成要素を組み合わせて対象を再構成することである. 第二部では,人間が思考するためには言語が不可欠であること,それゆえに正しく思考するためには言語をよく作ることが必要であることが主張される. こうした思想を,近代科学の祖であるラヴワジエは化学に応用し,化学物質を元素の組み合わせで名づけるという表記法を発明したのである. 読者の便宜のために,やや詳しめの訳注と,コンディヤックの哲学史上の位置やその思想的限界を論じた解説を付した.
人をつなぐ対話の技術,
日本実業出版社, 2016年4月.- (要約)
- 昨今,「対話を拒否する風潮」が広がっているように思われる.この本では,最近の日本の風潮を概観し,その原因を検討し,多数決と対比した対話のメリットを論じ,民主主義と対話の関係や,さらには「道徳や倫理の根本は何か」といったところにまで踏みこんで考察した.
- (キーワード)
- 民主主義 (democracy) / 倫理 (ethics) / 憲法 (constitution) / 教育 (education)
コピペと言われないレポートの書き方教室,
新曜社, 2013年7月.- (要約)
- 「コピペ」と「適切な引用」の違いから説き起こして,「正しく考える」ための基本的な技術を指南した教科書.7つのポイントを3つのステップに分け,誰でも無理なく「コピペと言われないレポート」が書けるように解説した.
ひとは生命をどのように理解してきたか,
株式会社 講談社, 2011年10月.- (要約)
- 近年,生命科学が爆発的な進展を見せている.そうした時代にあって,そもそも科学において生命がどのように理解されてきたのかを,アリストテレスやデカルトといった哲学者にさかのぼり,再考する. 第一章では近年のゲノム科学の成果を概観し,その中で「遺伝子」という概念に揺らぎが見えつつあることを指摘する. 第二章では,生物学という学問分野の誕生の背景を18,19世紀の生気論的な思想をたどることで明らかにする. 第三章では,遺伝子という概念には遺伝学と分子生物学という二つの出自があり,現代の遺伝子概念は両社の継ぎはぎになっていることを見る. 第四章では,複雑系生命論など,力学的な生命理論を検討し,「自己組織化論」においては「自己」の形成が十分に考えられていないことを指摘する. 終章では,「生命を見て取ること」の背後にある根本的な倫理性について考える.
哲学の立ち位置,
東信堂, 東京, 2010年10月.- (要約)
- 山口は第二章「哲学と諸科学」(pp.91-137)を担当.この論文は,科学の重要性が日常生活においても国際社会においても高まる現在において,「科学とは何か」ということを哲学的に問い直し,その有効性と限界を明らかにしようとするものである.まず第一節では現代社会における科学をめぐる状況を概観し,第二節で科学というものの成立史を取り上げた.同時に,科学史研究という,科学に対するメタ的研究が持つ有効性と限界についても指摘した.その上で,第三節では,科学史・科学哲学における「協約不可能性」や「理論負荷性」などの基本的概念を批判的に検討し,科学的知識の前提や構造を再考した.第四節では,行為による知覚的世界における秩序形成という大きな枠組みの中に科学的知識を位置づけるという,松永哲学における科学論をもとに,科学的知識の成立について論じた.
- (キーワード)
- 科学と哲学 () / 哲学 (philosophy)
哲学という地図, --- 松永哲学を読む ---,
勁草書房, 2010年8月.- (要約)
- 山口は第3章「世界を理解する論理」を担当(pp.85-134).松永哲学の科学論を近代経験論哲学の流れに置きなおし,その独自性を論じた.本論文は,松永哲学論であると同時に科学論としても独自の価値があるものと考える.伝統的な経験論哲学では知覚的世界は「心の変容」と定義され,原初的には連続的で一回的なものであると考えられる.松永哲学も一見するとそのような枠組みに乗っているように見えるが,実は松永哲学は,「出来事や法則の実在は否定するが物の実在を認める半分の実在論」であることを示した.しかし,出来事と物とを截然と区別することは実際には困難であり,ことに生命について考察するならその区別はあいまいなものとなる.松永の『知覚する私・理解する私』の結論は,生命論への展開を示唆するものであった.
- (キーワード)
- 科学と哲学 ()
認知哲学, --- 心と脳のエピステモロジー ---,
新曜社, 2009年9月.- (要約)
- エピステモロジーの立場から,心と脳にかかわる科学を分析する.第一部では人工知能,第二部では心理学的研究,第三部では自由意志の問題を扱う.
- (キーワード)
- 脳 (brain) / 科学と哲学 () / 自由 ()
エピステモロジーの現在,
慶応大学出版会, 東京, 2008年11月.- (要約)
- 山口裕之は第七章「生命の認識」(pp.289-375)を担当(担当箇所は単著).生命を研究する三つの科学,すなわち分子生物学,進化生物学,生命の力学系モデルについて,それらの発生や理論構造を分析し,それらの有効性や射程を検討した.「遺伝子」概念には,それを形質の原因と考える遺伝学由来のものと,形質の情報を担うとする分子生物由来のものの二つがあり,二義的であることを指摘したほか,「自己組織化」の力学系モデルでは「自己」概念が十分考察されていないことを指摘し,それら概念の哲学的検討を深めた.
恣意性と共有可能性,
中央公論新社, 東京, 2008年8月. 山口 裕之, 松永 澄夫, 朝広 謙次郎, 一ノ瀬 正樹, 上村 忠男, 王寺 賢太, 小倉 孝誠, 川出 良枝, 下川 潔, 高山 宏, 柘植 尚則, 中才 敏郎, 増田 真, 村松 正隆 :
哲学の歴史, --- 第六巻,18世紀,知識・経験・啓蒙,人間の科学に向かって ---,
中央公論新社, 東京, 2007年6月.- (要約)
- 「昆虫の神学」(pp.538-540),「コンディヤック」(pp.541-570)を担当.
科学技術と倫理,
株式会社 ナカニシヤ出版, 京都, 2007年2月.- (要約)
- 山口裕之は,第四部「生命操作技術の倫理と生命倫理学の倫理」(pp.90-113)を担当.現在,さまざまな分野において「倫理」が問題となっているが,そもそも「倫理とはなにか」,という根本的な部分があいまいなままに議論が行われている結果,倫理を論じると称しながら非常に非倫理的な言い争いが展開されている.本論文では,倫理とは価値の問題であって感情,特に対人感情に由来するものであるとの立場に立ち,倫理的な問題を倫理的に解決するには,普遍的な倫理的原理に訴えるのではなく,論争相手と共有可能な前提を探すべきであることを,生命倫理学上の論点を具体例として取り上げつつ論じた.また本論文の後半では,科学的認識がある種の価値判断にもとづいて構築されていることを示し,科学に普遍的真理を求めるよりは,その有効性と限界を考えたほうがよいことを論じた.最後に,倫理学的な論争の多くが「物言わぬ他者」を代弁することで展開されていることの問題点を指摘した.
人間科学の哲学―自由と創造性はどこへいくのか,
勁草書房, 東京, 2005年12月.- (要約)
- 本書は,フランス経験論哲学の立場に立ち,言語学·認知心理学など,現代人間科学について批判的に考察するものである.目次を示すことで要約に代える. 序論 科学と哲学. 1 哲学者の仕事. 2 我々はいつでも「途中」から始める. 3 他者との理解の共有. 4 この本の目的と組み立て. 第一章 「人間」をめぐる哲学と科学の歴史. 1 科学は哲学から派生してきた. 2 知覚の成立についての理論. 3 「心の働き」についての理論. 4 他者の心を科学的に研究すること. 5 コンディヤックが主張する言語のさまざまな働き. 6 ソシュールと記号の恣意性. 7 チョムスキーの言語生得説. 8 生得性と創造性. 第二章 チョムスキーと言語の普遍主義. 1 言語生得説の根拠. 2 言語生得説に対する既存の批判. 3 幼児は,自ら世界を秩序づけ意味づけつつ生きている動物である. 4 脳の機能局在説と観察者の視点の問題. 5 脳の構造と機能. 6 ニューラルネットと脳の違い. 7 機能局在説が一見するとうまくいくわけと,その限界. 8 ニューラルネットのロボット. 第三章 ソシュールと言語相対主義. 1 言語が世界に「輪郭」を設定する. 2 ソシュール理論の問題点. 3 バーリンとケイの『色彩基本語』. 4 色の分類は恣意的ではないのか. 5 気づかれないものは見えないのか. 6 マークマンの「生得的制約説」. 7 ロッシュらの「概念の基本レベル」. 8 なぜ,事実を記述しただけではいけないのか. 9 個体の輪郭の設定. 10 知覚的世界の秩序化と新たな意味の発見. 11 この章のまとめと次章への展開. 第四章 知覚と意味. 1 デカルトにおける「知覚の成立」の問題点. 2 経験論哲学による「知覚の成立」の議論. 3 知覚の成立の議論の二つの側面. 4 経験論的哲学における知覚と意味との混同. 5 現代の認知心理学における基本的な知覚観. 6 脳の電気生理学の場合. 7 認知心理学における知覚観の問題点. 8 知覚は一般的特徴の組み合わせによって構成されているのか. 9 特徴の再統合の問題. 10 知覚的世界を構成する質. 11 質の類似性. 12 知覚と実在. 13 神経細胞の機能に対する外在的な視点からの解釈の問題. 14 動物の「センサー-運動装置モデル」. 15 神経細胞の機能についての外在的意味づけ. 16 脳の中に小人はいるか. 17 物質とモデル. 第五章 意味の共有. 1 意味の共有の議論の進め方. 2 意識を分類する. 3 意識を定義する. 4 他者の発見. 5 行動の秩序化. 6 他者の行動の理解と意味の共有. 7 他者の身体運動が意志的行動であることの理解. 8 行動の動機や関心の理解. 9 理解を確認する行動の動機. 10 共同作業を喜ぶ感性. 11 動物における「伝達行動」. 12 理解を確認する行動. 13 伝達行動へ. 14 音声言語の場合. 15 言語を可能にする人間的な感性. 第六章 チンパンジーに言語を教える. 1 ここで取り上げる実験. 2 チンパンジーは,対象から切り離された記号を理解できない. 3 記号を用いて好みの餌を要求する. 4 対象を命名する. 5 記号を見て不在の対象を想起する. 6 人為的な条件下での共同作業. 7 食を分かち合う. 8 チンパンジー同士の共同作業. 9 チンパンジーに言語を教える実験から分かること. 10 記号使用と思考. 結語 意味の創造と共有.
コンディヤックの思想, --- 哲学と科学のはざまで ---,
勁草書房, 東京, 2002年11月.- (要約)
- 本書では,コンディヤックの思想の全容を明らかにすべく,彼の知覚論や記号論における主要な論点である「分析」の諸相を検討した.第1章では,彼の思想を「心理学」と規定するルロワの解釈を批判的に検討して第2章で独自の解釈の方向を指示,第3章では具体的に彼の知覚論を取り上げ,彼の議論が従来言われているような「知覚の成立」を論じるものではなく,むしろ「知覚の意味づけ」を論じるものであることを示した.第4章では彼の記号論を取り上げ,彼の論じる「記号の発生」の議論が結局のところ失敗していること,及びそれを補うための道筋を示した.第5章では彼の記号論が結局のところ数学をモデルとする「観念の計算」としての分析を目指すものであり,ラヴォワジェの化学がそうした彼のモデルを化学の分野に適用したものであることを論じた.第6章ではそうした「観念の計算」によって獲得される認識の性格を検討し,コンディヤック認識論全体の構造を明らかにした.
- (キーワード)
- コンディヤック / 記号 / 知覚 / 観念 / ラヴォワジェ
『フランス哲学·思想辞典』(小林道夫·小林康夫·坂部恵·松永澄夫編),「デュ·マルセ」,「ボゼ」,「アムラン」,「ドゥジェランド」,
弘文堂, 1999年. - 論文
- 山口 裕之 :
21世紀の大学の在り方,
日本の科学者, Vol.57, No.2, 40-45, 2022年.- (要約)
- 21世紀に入ってからの20年間,日本の大学は政府主導の大学改革によって疲弊し,研究力が著しく低下している.政府は大学をイノベーションのセンターにしたいのであれば,基本的な運営費を増額して保障し,大学の自治を保障しなければならない.そうすることで,21世紀の大学を「おもろいことに没頭するおもろい人が集う場所」に育てていくべきである.
- (キーワード)
- 大学教育 / イノベーション (innovation) / 大学予算 / 競争主義 / 大学の自治
- (文献検索サイトへのリンク)
- ● CiNii @ 国立情報学研究所 (CRID): 1520009640086002048
(CiNii: 1520009640086002048) 山口 裕之 :
コンディヤック『動物論』における生命論,
フランス哲学・思想研究, Vol.27, 109-120, 2022年.- (要約)
- 2022年春季の日仏哲学会での発表原稿をもとにした論文.コンディヤックの「魂」の概念をアリストテレス以来の歴史的文脈に位置づけた.『動物論』でコンディヤックはビュフォンの「動物機械論」を批判するが,彼の魂の概念には「情報処理機械」と解釈できるような側面があると論じた.
An attempt to create a treatment algorithm of central adrenal insufficiency using CRH test, DHEA-S and clinical evaluation.,
The Journal of Medical Investigation : JMI, Vol.69, No.3.4, 287-293, 2022.- (要約)
- Objective : To examine diagnostic performance of corticotropin-releasing hormone (CRH) test combined with baseline dehydroepiandrosterone sulfate (DHEA-S) in patients with a suspect of central adrenal insufficiency. Methods : Patients (n=215) requiring daily or intermittent hydrocortisone replacement, or no replacement were retrospectively checked with their peak cortisol after CRH test and baseline DHEA-S. Results : None of 106 patients with the peak cortisol · 17.5 g /L after CRH test required replacement, and all 64 patients with the peak cortisol < 10.0 g /L required daily replacement. Among 8 patients with 10.0 g /L the peak cortisol < 17.5 g /L and baseline DHEA-S below the reference range, 6 patients required daily replacement and 1 patient was under intermittent replacement. Among 37 patients with 10.0 g /L the peak cortisol < 17.5 g /L and baseline DHEA-S within the reference range, 10 and 6 patients were under intermittent and daily replacement, respectively. Conclusions : No patients with the peak cortisol · 17.5 g /L required hydrocortisone replacement, and all patients with the peak cortisol below 10.0 g /L required daily replacement. Careful clinical evaluation was required to determine requirement for replacement in patients with 10.0 g /L the peak cortisol < 17.5 g /L even in combination with baseline DHEA-S. J. Med. Invest. 69 : 287-293, August, 2022.
- (キーワード)
- Adrenal Insufficiency / Adrenocorticotropic Hormone / Algorithms / Corticotropin-Releasing Hormone / Dehydroepiandrosterone Sulfate / Humans / Hydrocortisone / Retrospective Studies
- (徳島大学機関リポジトリ)
- ● Metadata: 117738
- (出版サイトへのリンク)
- ● Publication site (DOI): 10.2152/jmi.69.287
- (文献検索サイトへのリンク)
- ● PubMed @ National Institutes of Health, US National Library of Medicine (PMID): 36244782
- ● CiNii @ 国立情報学研究所 (CRID): 1390575263318485248
- ● Summary page in Scopus @ Elsevier: 2-s2.0-85139886801
(徳島大学機関リポジトリ: 117738, DOI: 10.2152/jmi.69.287, PubMed: 36244782, CiNii: 1390575263318485248, Elsevier: Scopus) 山口 裕之 :
学者の「やる気」をなくさせる方法,
生活経済政策, No.297, 18-23, 2021年.- (要約)
- 国立大学の独立行政法人化から約20年間の「大学改革」政策が,全体として研究者のやる気を奪うものであったことを論じた.人がやる気を出すのは,自分のやりたいことをやりたいようにやっている時だが,「トップダウンの大学統治」は研究者の組織運営への意欲を奪い,「競争の強要」は研究そのものへのやる気を奪う.近年の日本の研究力の低下(論文数の減少,とくにインパクトの大きい論文シェアの減少など)はそうした大学改革政策の必然的結果であることを論じた.
- (文献検索サイトへのリンク)
- ● CiNii @ 国立情報学研究所 (CRID): 1523951031001905536
(CiNii: 1523951031001905536) 山口 裕之 :
競争で大学はよくなるのか―大学改革の虚像,
前衛, No.976, 2019年.- (要約)
- 昨今の政府主導による大学改革によって,教育や研究の現場が危機に瀕していることを,具体的な事例を挙げつつ一般向けに分かりやすく論じた.
若手・中堅から見た大学改革,
現代の高等教育, No.603, 9-14, 2018年.- (要約)
- 昨今の政府主導の大学改革について,若手・中堅の終身雇用専任教員と,若手が多い雇用期限付き専任教員の立場から検討した.雇用期限付きの教員からすると,雇用期限の間に何らかの成果を挙げなければならないために小粒な研究ばかりをすることになる.雇用期限付きのポストが増えているために,研究者を目指す若者が減っている.終身雇用の教員からすると,学長(その背後にいる政府)によるトップダウン体制の強要は,組織運営への熱意を奪われる.政府はそうしたデメリットを直視し,これまでの政策を転換しなければ,日本の大学は衰退する.
- (文献検索サイトへのリンク)
- ● CiNii @ 国立情報学研究所 (CRID): 1523669555657478400
(CiNii: 1523669555657478400) 山口 裕之 :
どうして「科学技術振興予算は今後,増えません」と断言できるのか,
全大教時報, Vol.41, No.2, 13-28, 2017年.- (要約)
- 河野太郎衆議院議員が自身のブログにて,日本政府の財政難を主たる理由に,「科学技術振興予算は今後,増えません」と述べていることに対して,なぜ日本政府は財政難なのかを解説した.それは,戦後自民党政権が,高度経済成長の果実を「公共事業・雇用保障・減税」という三本柱によって国民各層に分配し,その支持を取り付けたことに原因がある.その副作用として,政府が社会保障を提供しないことに慣れた国民は,国立大学が高額の授業料を徴収するようになっても不平を言わず負担した.もう一つの副作用は,日本では中道リベラルの政党が成長しなかった.低成長期に入って配分すべき果実が少なくなり,そうした統治体制の矛盾が噴出しているのが現状である.現状を改善するためには,増税と社会保障の充実による給付しかないことを論じた.
機械としての生命・神を演じる生命,
現代思想, Vol.45, No.9, 170-187, 2017年.- (要約)
- 「増刊号:総特集・iPS細胞の未来」所収. 前半部では,現代生物学の歴史をデカルトの機械論にさかのぼり,その成立構造を論じた.遺伝子概念の起源がメンデル遺伝学と分子生物学の二つあること,それに伴って「形質の原因」「情報」という二義的であることを指摘した.現代においては,ゲノム解析技術が進展し,古典的な分子生物学の枠組みには収まり切れないような事例が蓄積されているが,にもかかわらず,基本的な枠組みが維持されている.古典的な枠組みを乗り越えようとする方向性として,笹井芳樹の「創発生物学」を参照した. 後半では,iPS細胞,ゲノム編集などの技術によって,ヒトの「遺伝子改造」が懸念されていることに対して,技術とは本質的に生物的な現象であること,対象そのものを理解したいという欲望が人間独特であること,現在の生物学における理論と技術では,まだまだ生命の本質を理解するには道半ばであることを論じた.
- (文献検索サイトへのリンク)
- ● CiNii @ 国立情報学研究所 (CRID): 1523388080340109312
(CiNii: 1523388080340109312) 山口 裕之 :
出生前・着床前診断と優生学,
公衆衛生, Vol.78, No.3, 176-180, 2014年.- (要約)
- 新型出生前診断の臨床研究が実施されている状況において,優生学の歴史を概説し,自由主義的・商業主義的な「新優生学」への対応について論じたもの.「子供の優秀さ」という「商品」への欲望は,自由主義社会において煽られ,そして裏切られるものであることを指摘した.
- (キーワード)
- 生命倫理 (bioethics) / 優生学
- (文献検索サイトへのリンク)
- ● CiNii @ 国立情報学研究所 (CRID): 1390564238005871104
(CiNii: 1390564238005871104) 山口 裕之 :
徳島大学:非正規教職員の雇止めを撤廃,
経済, Vol.217, 53-57, 2013年.- (要約)
- 労働契約法改正を機に,非正規教職員の雇用期限の撤廃を実現した徳島大学教職員労働組合の活動を報告した.
言語学についての哲学的考察序説, --- 概念の恣意性と意味の共有可能性 ---,
言語研究, Vol.144, No.144, 1-27, 2013年.- (要約)
- 言語学の起源は近代哲学にあり,近代哲学における知覚の理論は,ソシュール的な意味論や「サピア・ウォーフの仮説」に代表される言語相対主義へつながる.他方,チョムスキーによる普遍文法の主張以降,言語についての普遍主義が広まっている.従来,言語相対主義と普遍主義は対立してきたが,私が見るに,両者ともに知覚と意味とを混同する過ちを犯している.知覚されたものは個別的なもの,意味とは複数の個物に共通する一般性であり,両者を峻別すべきだ.言語に関するもっとも根本的な問題は,本来恣意的なはずの意味がいかにして共有できるのかという問題である.私は,意味の共有は共同作業をしたいという欲求によって動機づけられると考える.共同作業をするときに初めて,行動の意図を共有する必要が生じるからだ.共同作業への欲求は,成果の共有を喜ぶ感性によって裏打ちされている.この感性こそが,チンパンジーなど高等な霊長類と人間とを分かつ特徴である.
- (キーワード)
- 言語学の起源 / 知覚と意味の関係 / 概念の恣意性 / 自然分類 / 意味の共有
- (文献検索サイトへのリンク)
- ● CiNii @ 国立情報学研究所 (CRID): 1520290883240636544
(CiNii: 1520290883240636544) 山口 裕之 :
恣意性をこえて, --- 概念の設定と共有の問題 ---,
思想, Vol.1003, No.1003, 70-87, 2007年.- (文献検索サイトへのリンク)
- ● CiNii @ 国立情報学研究所 (CRID): 1523951030504955520
(CiNii: 1523951030504955520) 山口 裕之 :
ピアジェとチョムスキーの論争, --- 「認識の発生」の認識論 ---,
フランス哲学·思想研究, Vol.11, No.11, 74-86, 2006年.- (要約)
- Jean Piaget et Noam Chomsky ont fait un débat en 1975 au Centre Royaumont pour une science de l'homme, sur le problème de l'acquisition de la connaissance. De la part de Chomsky, la capacité de langage n'est pas acquise mais innée, c'est à dire tous les enfants ont une connaissance quelconque de langage par nature. Mais de la part de Piaget, les enfants créent la structure de leur connaissance par l'expérience au cours de laquelle ils s'efforcent de s'adapter à l'environnement. La plus grande différence entre leur point de vue, c'est au sujet de la possibilité de création. Piaget tâchait de construire une théorie scientifique de créativité, tandis que Chomsky a prétendu que la création proprement dite est impossible à point de vue logique. Certes, c'est impossible d'expliquer la créativité à point de vue logique, comme dit Chomsky. Mais, cela ne veut pas dire que la création est impossible, mais que la logique scientifique ne suffit pas pour l'expliquer. La théorie de Piaget nous enseigne que la créativité consiste à remarquer ce qu'est le problème avant de savoir s'en server de la logique.
- (キーワード)
- 言語生得説 / 創造性 / 科学哲学
- (文献検索サイトへのリンク)
- ● CiNii @ 国立情報学研究所 (CRID): 1520572358457834880
(CiNii: 1520572358457834880) 山口 裕之 :
ポスト·ゲノム時代における生命の認識,
死生学研究, Vol.1, No.1, 317-340, 2003年.- (要約)
- ヒトゲノム計画がひとたび終結し,生物学における次の課題は遺伝子の機能の解明であるとされている.しかし,私が見るに遺伝子の機能の概念は二義的である.すなわちそれは一方である特定のたんぱく質を生産することであると考えられているが,他方,外的に観察された形質を生み出すものであるとも考えられている.しかし,形質は観察者によって恣意的になされうるものであるから,生命とは何かを対象に即して理解するためには,分子の作るシステムとして理解しなくてはならない.しかし,単に分子の運動を記述するだけでは生命とは何かを「理解」することはできないのであって,そうした運動を何らかのモデルに当てはめることが必要になる.カンギレムは,生命の「機械論モデル」が考案されるためには,あらかじめ機械が発明されていなければならなかったことを指摘した.彼が言うには,技術は,それが一つの創造であるがゆえに,生命的な創造性の発露なのである.しかし,私としては彼の見解とは逆に,そもそも生命が創造であるという見方自身が,技術的な発明において機能が創発することとの類比において考え出されたのであると考える.技術においては,部品を組み合わせることで新たな機能を生み出す.技術における創造は,部品という単位を新たに輪郭付け,それをひとまとまりのものとして組み合わせることによって達成されるのである.生命においても,分子から細胞が,細胞から個体が生み出されると考えたときに,新たな機能が「創発」したように見える.しかし,発見の順序としては,まず日常的な知識として個体が見出され,その構成要素として細胞が,さらにその構成要素として分子が見出されたのである.多くの個体に共通する,一般性が高いがゆえにスペシフィックな要素を剥ぎ取られた要素が順次発見されたのである.そうした発見の順序=分解の順序を逆転し,分子から細胞が,細胞から個体が生成してくると考えたときに,生命において,諸部分の総和以上の機能が創発してくるように見える.さらにその創造の過程が進化論によって正当化されることになる.しかし,そうした,生命を創造とみなす見方が成立するためには,科学の歴史において,生命の単位が細胞であり,生物は単純なものから進化してきたという見方自身が,一つの創造として発明されてきたことを見逃すわけにはいかないのである.
- (キーワード)
- 哲学 (philosophy) / 生命 / カンギレム / 機械論
- (文献検索サイトへのリンク)
- ● CiNii @ 国立情報学研究所 (CRID): 1571980077424941184
(CiNii: 1571980077424941184) 山口 裕之 :
生物学的決定論と人間の自由,
科学哲学, Vol.34, No.2, 89-100, 2001年.- (要約)
- 近年,生物学への社会的関心が高まるに伴って,人間の能力や行動が遺伝子によって決定されているとする「生物学的決定論」が流行の兆しを見せている.そうした決定論は,責任の概念を消失させ,あるいは社会的問題の責任を個人に押し付けるなど,倫理的に極めて有害な主張である.本論文は,生命倫理における問題の一つとしてこうした決定論を取り上げ,批判するものである.こうした決定論は生物学を利用して科学の体裁を取ろうとするが,実のところデタラメなものである.しかし,通俗的な決定論者のみならず,本当の生物学者も人間の性格などを遺伝子によって説明しようとしているのが現状である.その場合の問題点は,性格などそこで取り上げられる形質が研究者の恣意や社会的通念によって分節されたものであり,そうしたものが遺伝子と一対一に対応するとは考えられない点にある.また,取り上げられる形質が極度に単純化される点にも問題がある.人間の精神は,現状のような粗雑な還元主義的思考によっては捉えられえず,遺伝子とタンパク質からなる生命システムからの「創発」として捉えねばならないのであり,そのように捉えることで人間の自由について科学的に探求できる領域があることを指摘した.
- (キーワード)
- 哲学 (philosophy) / 決定論 / 遺伝子 (gene) / 自由
- (出版サイトへのリンク)
- ● Publication site (DOI): 10.4216/jpssj.34.2_89
- (文献検索サイトへのリンク)
- ● CiNii @ 国立情報学研究所 (CRID): 1390001205083890560
- ● Search Scopus @ Elsevier (DOI): 10.4216/jpssj.34.2_89
(DOI: 10.4216/jpssj.34.2_89, CiNii: 1390001205083890560) 山口 裕之 :
科学的知識の客観性と間主観性,
哲学, No.52, 276-285, 2001年.- (要約)
- いわゆる「サイエンスウォーズ」において,科学社会学者ラトゥルは,「科学的知識を間主観的構築物に還元する相対主義者」として科学者側から批判された.本論文ではまずラトゥルの議論を検討し,彼の議論は科学的事実が確証される過程を問題にするものであって,科学者側の批判は当たらないことを示した.その上で,彼の議論では科学における「理論」の役割が軽視され,また科学的事実とはそもそもなんであるのかという点についての考察がなされていないという問題点を指摘した.そこで,彼の議論を補うべく,「理論」について,まずは「自然の要約」として,次いで「操作の体系」として考察した.その考察をもとに,「事実」の成立過程を検討,理論との関係で科学的事実を分類しなくてはならないことを示し,日常的な知識を出発点として科学的知識が成立する一方,科学的知識がひるがえって日常的知識に変容を迫るという循環関係を明らかにした.
- (キーワード)
- 哲学 (philosophy) / ラトゥル / サイエンスウォーズ / 科学的事実 / 理論
コンディヤック『感覚論』における触覚と分析,
フランス哲学·思想研究, No.3, 93-107, 1998年.- (要約)
- コンディヤックは,『人間認識起源論』では,モリヌークスとロックに反して,視覚のみによる外的対象の認識を認めるが,『感覚論』では外的対象の認識を与えるのは触覚のみである,と主張する.こうした矛盾は,ルロワなどによって解釈上の問題として提示されてきた.しかし,私の解釈では両者は必ずしも矛盾するものではない.『感覚論』における議論は,バークリによる観念論への理論的反論として企てられたものであり,外的対象の認識を保証する理論的根拠として触覚が持ち出されたのである.一方『起源論』は,日常的な知覚のあり方を論拠としているため,両著作の扱っている問題は必ずしも重なっておらず,その意味では両著作の内容は必ずしも矛盾するものではないと言える.知覚の成立についてのコンディヤックの議論は,主観において対象が現れるとはどういうことか,対象を理解するとはどういうことか,ということを考察する点で,
- (キーワード)
- コンディヤック / バークリ / 観念論 / モリヌークス / 哲学 (philosophy)
- MISC
- 山口 裕之 :
大学の授業の遠隔化と今後の展望,
生活協同組合研究, Vol.560, 13-20, 2022年.- (出版サイトへのリンク)
- ● Publication site (DOI): 10.57538/consumercoopstudies.560.0_13
- (文献検索サイトへのリンク)
- ● Search Scopus @ Elsevier (DOI): 10.57538/consumercoopstudies.560.0_13
(DOI: 10.57538/consumercoopstudies.560.0_13) 山口 裕之 :
人文系学部は廃止?, --- 日本の大学改革の現状と課題 ---,
徳島大学総合科学部人間社会文化研究, Vol.25, 148-158, 2017年.- (要約)
- 2017年2月11日,12日に徳島大学総合科学部にて開催された韓国外語大学・徳大学総合科部共催シンポジウム「グローバル化時代における人文学の現状と役割」にて口頭発表した原稿をもとにした論文.文科省の通知「国立大学法人等の組織及び業務全般の見直しについて」における「人文社会系学部は廃止,もしくは改組」という趣旨の記載があったことに対する社会的反響を出発点に,近年の大学改革の現状と問題点を論じ,それに対応するために大学人がなすべきは,「正しく考える技術」を伝えるため教育における連携,さらには研究の連携であることを論じた.
- (文献検索サイトへのリンク)
- ● CiNii @ 国立情報学研究所 (CRID): 1050302172853898368
(CiNii: 1050302172853898368) 山口 裕之 :
『人をつなぐ対話の技術』から学ぶ組合活動,
全大教時報, Vol.41, No.1, 28-67, 2017年.- (要約)
- 2月24日に行った講演「人をつなぐ対話の技術から学ぶ組合活動」のテープ起こし原稿を加筆修正したもの.
コンディヤックの視覚論, --- 「知覚の成立」の議論は一体何を論じているのか? ---,
徳島大学総合科学部人間社会文化研究, Vol.18, No.18, 57-70, 2011年.- (要約)
- 同名の学会発表(2009年,哲学会)を論文化したもの.17世紀から18世紀にかけての経験論哲学では「知覚の成立」が盛んに論じられた.典型的な話題に「モリヌークス問題」がある.そうした議論における中心人物でありながら日本ではあまり知られていないコンディヤックの議論をロック,バークリらとの対比で紹介しつつ,当時の知覚論の多義性を分析し,その後の実証主義的科学への流れを明らかにした.知覚の成立において神の関与を重視するマルブランシュとバークリの後を受けて,不可知な神や物自体を理論体系から排除することで,近代科学の思考法が成立する.コンディヤックの理論はその流れを印付けるものであった.
- (徳島大学機関リポジトリ)
- ● Metadata: 85100
- (文献検索サイトへのリンク)
- ● CiNii @ 国立情報学研究所 (CRID): 1050020697877945216
(徳島大学機関リポジトリ: 85100, CiNii: 1050020697877945216) 山口 裕之 :
進化論思想の成立とその構造,
東京大学哲学研究室紀要論集, Vol.17, 112-124, 1998年.- (要約)
- 本論文では,進化論成立の前史としてリンネとビュフォンを扱い,しかる後にダーウィンの『種の起源』を検討した.一般に進化論の成立の本質は産業革命後のイギリスの競争社会をモデルにした生存闘争にあるとされている.しかし実は進化論の本質は,家畜の人為的選択をモデルにした自然選択にある.つまり,ダーウィニズム成立の本質は,優れた個体を選択するという操作枠組みを設定したこと,すなわち操作(実験)による対象認識という物理学的な方法を生物学に持ち込んだことなのである.しかしながらダーウィニズムにおいては操作すべき対象を画定する論理が存在しないという問題点がある.また,進化論において,突然変異は偶然的事象とされている.これは,自然科学においては反復的な操作が不可能なものは偶然的事象と見なされる,という事情を反映している.本論では結論として,操作が対象を規定する一方で対象のほうが操作を規定してもいるという,操作と対象の間の循環的な関係を指摘した.
- (キーワード)
- 進化論 / 自然選択 / 操作 / 偶然性 / 反復
知覚と行為からの言語の成立,
東京大学哲学研究室紀要論集, Vol.16, 74-86, 1997年.- (要約)
- 本論文においてはチョムスキーの文法生得説を批判的に検討した.チョムスキーの主張は,言語能力の自律性,言語の創造性,文法の生得性の三点に要約できる.本論ではまず,言語はむしろ他の認知過程に従属的であることを,言語障害やサルの脳の構造についての最新の知見を援用しつつ論じた.次いで,知覚と行為において既に創造性がみられること,つまり知覚においても未知の物の理解が可能であり,またそうした未知の物に対する適切な行為が可能であることを指摘した.最後に,諸言語に普遍的にみられる文法構造は,既知の物が繰り返し現れてくるという知覚の構造を反映していることを主張した.本論の後半では,知覚と行為から言語が派生する過程について思考実験的に展開した.まず,視覚による対象理解が生得的であることを確認した.次いで音の知覚について検討し,音素の弁別能力が,言語を可能にする生得的能力であることを指摘した.最終的に,音を出すという行為からの言語の成立について考察した.
- (キーワード)
- チョムスキー / 言語 / 知覚 / 行為
コンディヤックにおける類推について,
東京大学哲学研究室紀要論集, Vol.16, 247-260, 1996年.- (要約)
- 本論文においてはコンディヤック『計算の言語』を中心に検討した.この著作では「発見の方法としての類推」が主張されている.コンディヤックによると,類推とは言語をつくりそれを発展させる創造的なはたらきである.この類推は,言語の成立の段階,ある語の観念を拡張する段階,言語の枠組みを変革する段階という三つの段階にわたって言語の発展に関わる.言語の成立の段階とは,自らの欲求と関心によって対象を分節し,名づけるという段階である.ここでの類推の関与は,無限に多様な差異を含む対象のうちから,欲求と関心の観点からみて「同じ」と見なせるものを取り出すことである.このようにして人間にとって身近な世界が成立し,これが以後の類推の基盤となる.つまり,あらたに見つかった対象や直接知覚できない対象などについて既知のものとの類似点から意味づけ,理解するのである.これが観念の拡張という第二の段階である.この段階での類推とは,未知のものを,既知の知識の枠組み,あるいは既成の言語の体系に取り込むものである.そうした既成の枠組みは人間の思惟を規定するが,一方で人間の言語使用がそうした体系自身を徐々にではあれ変様させていく.これが第三段階である.
- (キーワード)
- 哲学 (philosophy) / 類推 / コンディヤック / 言語
食と倫理, --- 感情と説得 ---,
ヴェスタ, Vol.51, 72-73, 2003年. 山口 裕之 :
食と倫理, --- 食を分かつは仁の始め ---,
ヴェスタ, Vol.50, 54-55, 2003年. 山口 裕之 :
食と倫理, --- 失われた倫理を求めて ---,
ヴェスタ, Vol.49, 66-67, 2002年. 山口 裕之 :
一人暮らしにおける自炊の楽しみ,
ヴェスタ, Vol.47, 35-39, 2002年.
- 総説・解説
- 山口 裕之 :
それでも対話を諦めない,
地上, Vol.74, No.1, 44-47, 2020年1月.- (要約)
- 特集「脱やってるつもり 「対話」の総点検」の特別インタビュー記事.著書『人をつなぐ対話の技術」(日本実業出版社)をもとに,民主主義は多数決でなく対話による合意形成にあること,対話とは相手を打倒することでなく一緒に答えを探すための共同作業であることなどを論じた.
- (文献検索サイトへのリンク)
- ● CiNii @ 国立情報学研究所 (CRID): 1523388078294595712
(CiNii: 1523388078294595712) 山口 裕之 :
書評・池内了『科学者と軍事研究』岩波新書,
しんぶん赤旗, 2018年3月. 山口 裕之 :
書評・根本彰『情報リテラシーのための図書館』みすず書房,
徳島新聞, 2018年1月. 山口 裕之 :
書評「金森修・塚原東吾編『科学技術をめぐる抗争』岩波書店」,
フランス哲学・思想研究, Vol.22, 330-333, 2017年9月.- (要約)
- 2016年5月に亡くなった金森修の最後期の編著であり,戦後日本における科学をめぐる重要論文を集めた論文集『科学技術をめぐる抗争』についての書評.
徳島大学で有期雇用職員の更新回数上限を撤廃, --- 有期雇用職員1000人に無期雇用の道を開く ---,
月刊全労連, No.197, 30-31, 2013年7月.- (要約)
- 徳島大学において,従来は雇用期限に3年の上限がつけられてきた有期雇用職員について,労働契約法改正を機に,5年以上在職した場合には無期雇用に転換するよう制度を変更することになった.その経緯を報告した.
書評・河野哲也著『意識は実在しない 心・知覚・自由』(講談社,2011),
フランス哲学・思想研究, Vol.17, 198-203, 2012年9月.- (要約)
- ジェームズ・ギブソンのアフォーダンス理論をもとに,知覚論・心の哲学にとどまらない広範な論考を発表し続けている河野哲也氏の新著に対する書評.氏は,従来の心理学において心が「私秘的なもの」とされてきたことに異を唱え,表情や行動などから直接に読み取れるものとするなど,心の哲学において画期的な見方を提示している.しかし,この書評では,氏の議論には「アフォーダンスを抽出するメカニズムへの問い」や「環境に還元しきれない主体的な意欲」という側面についての考察が不十分であること,「意味の共有」という問題意識が欠けていることなどを,私自身の諸著書との対比に基づいて指摘した.
- 講演・発表
- 山口 裕之 :
人文系学部は廃止?日本の大学改革の現状と課題,
国際人文学フォーラム「グローバル社会における人文学の現状と役割」, 徳島, 2017年2月.- (要約)
- 2015年6月,「文部科学省(文科省)は国立大学の人文社会系学部を廃止しようとしている」という新聞報道が相次いでなされ,大きな衝撃が走った.文科省自体にそうした意図はなかったのだが,必ずしも事実とは言えないこうした報道がリアリティを持って受け止められたのは,「人文系は役に立たない」という通念が流布しているからである.日本の国立大学は,2004年の独立行政法人化以降,改革の嵐に翻弄されているが,そうした状況のなかで人文社会系の学問に求められていることは,国策から一歩身を引いて,人文社会系の学問の在り方や意義を社会に向けて発信することである.本論の主張としては,人文社会系の教育の意義は,対立する意見を踏まえて考える技術を教育することである.また,教員は研究や教育の場で連帯を広げていく必要がある.
- (キーワード)
- 大学改革 / 人文社会系の意義
Le comité d'éthique de la recherche médicale au Japon,
Paris, Nov. 2006.- (要約)
- Le premier comité d'éthique japonais a été fondé en 1982 à l'Université de Tokushima où j'enseigne actuellement. Nous avons interviewé l'un de ses créateurs, le Professeur Mori Takahide, sur l'histoire et les objectifs de cette fondation, dans l'espoir de dégager les caractéristiques du comité japonais comparé à ceux des Etats-Unis. Une des particularités du cas japonais est que le comité d'éthique de la recherche médicale a été créé afin de susciter l'acceptation sociale de la fécondation in vitro. En un mot, l'objectif du comité japonais était surtout de favoriser la recherche scientifique, tandis qu'aux Etats-Unis, les comités avaient plutôt pour but le contrôle et la régularisation de la recherche. J'exposerai dans ma communication d'une part l'histoire et les circonstances de la fondation du comité d'éthique au Japon, et d'autre part les problèmes bioéthiques auxquels notre pays fait face à l'heure actuelle.
相対主義と普遍主義の問題,
リベラルアーツプログラム for Business, 2023年3月. 山口 裕之 :
「みんな違ってみんないい」のか?組織力強化に向けた取り組み,
第11回三重県連大会, 2023年2月. 山口 裕之 :
労働組合の組織を活性化する対話を考える,
春の組織強化拡大交流集会, 2023年2月. 山口 裕之 :
コンディヤック『動物論』における生命論,
日仏哲学会2022年春季大会, 2022年3月. 山口 裕之 :
大学教職員に今,何が求められるのか,
平成30年度兵庫医療大学FD・SDワークショップ, 2019年3月.- (要約)
- 政府主導の大学改革によって,日本の大学は混迷と疲弊を深めている.政府,財界の大学へ要請は,「産業に役立つ研究,職業に役立つ教育」である.それに対して,大学のもっとも大切な役割は民主的社会を支える市民の育成だという見解を提示した.民主主義とは多数決だと誤解されているが,多数決は集団の意志を決定するための欠点の多い手段の一つにすぎない.むしろ,客観的な根拠に基づく合理的な対話による合意形成こそが民主主義の理念を実現するために重要である.そうした対話能力を教育することが大学の社会的使命であることを論じた.
民主主義と道徳教育,
子どもと教育を守る高知県連絡会, 2019年3月.- (要約)
- 義務教育における「道徳の教科化」に対して,現場の教職員の間で不安や戸惑いの声が広がっている.改正教育基本法では,国家が徳目を指定して子どもに教えるように定めていることから,教育勅語と同様の体制となっている.徳目の教え込みは,徳目がなぜ正しいのかを考える力を育てず,徳目同士が矛盾する場面で判断する力も育てない.反対する立場と対話する力を教育することが道徳教育である.そうした対話の力は,民主的な合意形成の力でもある.
民主主義と道徳教育,
2018年度香川県教組教育研究集会, 2018年10月.- (要約)
- 2018年度から,小中学校で道徳が「特別な教科」とされた.しかし,道徳教育とは具体的に何をどのようにして教えればよいのかという点について,教育現場で合意があるわけではない.政治家は教育勅語を念頭に置いたかのような「徳目主義」を取っており,国家が徳目を与えることを「教育の目標」とする形に教育基本法を改正した.しかし,徳目を覚えたからといって実際に道徳的に振る舞えるとは限らず,徳目の教え込みは,道徳的な人間を育てる役には立たない.本講演では,道徳教育とは意見を異にする他者との対話による合意形成の技術を教えることであるという見方を提示し,その具体的な方法を論じた.
研究は競争で改善するか,
第46回研究員集会, 2018年10月.- (要約)
- 昨今の「大学改革」では「競争主義」的な政策がとられている.大学評価による交付金の増減・研究者の業績評価による雇用審査などである.「大学間競争」にせよ,研究者個人の「競争的資金」獲得競争にせよ,実態は競争ではなく,書類審査である.競争の名を借りて,政府による大学統制が進められている.また,大学間競争と,研究者個人の競争とは矛盾する.大学単位で競争するためには,そこに所属する研究者の協力が必要だが,研究者同士に競争をさせると,研究者は大学への帰属意識を失い,より良い条件のところに異動するからである.結論としては,競争が物事を改善するというのは根拠のない思い込みである.基本的な部分は保障したうえで,プラスアルファの分をめぐって競争したい者だけが競争するような政策を取るべきである.
大学教職員に今,何が求められるのか,
四国地区大学教職員能力開発ネットワーク(SPOD)フォーラム, 2018年8月.- (要約)
- 大学全入時代における大学の役割は,「企業に役立つ教育」ではなく,「民主的社会を支える市民の育成」であると主張した.民主主義とは多数決ではなく,構成員の福祉を目的とする制度である.しかし,具体的に何が「構成員の福祉」になるかを決定するためには,事実にもとづく判断が必要である.そうした判断力を教育することが大学の役割である.
- (キーワード)
- 大学改革 / 教育改革
競争しなくても生きていける社会へ,
教養教育研究開発プロジェクト企画シンポジウム, 2018年2月.- (要約)
- 近年の日本における大学改革が予算削減と競争主義という背反する目的にもとづいている点を取り上げ,その原因が日本経済の不調と政府の財政難であることを指摘した.競争主義が一般に組織を破壊し,トップダウン的運営が現場のやる気を奪うことから,昨今の改革政策は必然的に失敗する.大学のユニヴァーサル化時代にあって大学の社会的機能は民主的な社会を支える市民の育成であり,そのためには客観的な根拠を比較検討して合理的な結論を出す能力の育成を図る必要があることを論じた.また,日本の将来像として,公正な税負担と社会保障を中心とした社会を構想し,その中に大学授業料の議論も位置付けられるべきであると論じた.
「大学改革という病」をどう治すか,
春闘フォーラム, 2018年1月.- (要約)
- 昨今の大学改革の現状を概観し,大学の社会的意義とは民主的な社会を支える市民の育成であることを主張した.民主主義を多数決と同一視する俗説に対して,民主主義の理念をホッブズ,ロック,ルソーらの社会契約論に立ち返り,その本来の目的が構成員の人権保障であること,代議制民主主義とは,勉強して議論してもらうための代表を選ぶことが本来の趣旨であることを論じた.
「大学改革」の現状と今後の大学の役割,
香川の教育をよくする県民会議総会, 2017年12月.- (要約)
- 昨今の大学改革の現状を概観し,大学の社会的意義とは民主的な社会を支える市民の育成であることを主張した.民主主義を多数決と同一視する俗説に対して,民主主義の理念をホッブズ,ロック,ルソーらの社会契約論に立ち返り,その本来の目的が構成員の人権保障であること,代議制民主主義とは,勉強して議論してもらうための代表を選ぶことが本来の趣旨であることを論じた.
金森修の最後の仕事:『科学技術をめぐる抗争』,
提案型ワークショップ「金森修の科学思想史とエピステモロジーのこれから」, 2017年9月.- (要約)
- 2016年5月に逝去した金森修の最後期の編著『科学技術をめぐる抗争』を主に取りあげ,金森修の業績を,明治期から昨今までの日本における科学技術をめぐる「抗争」,さらに近年の大学改革の流れの中に位置づけた.
コンディヤックの言語起源論再考,
科学研究費「ダイクシスの認識に関する日仏対照研究」(若手研究B・16K16834)による研究シンポジウム, 2017年3月.- (要約)
- コンディヤックの『人間認識起源論』,『論理学』をもとに,言語が発生するための必要条件について考察した.動物の鳴き声などとは異なる「言語」は,現前する知覚的状況から切り離されて発信されること,受け手の側はそれを単なる記号として理解することが必要である.そうした伝達行動が動機づけられるためには,共同作業を行いたいという欲求が必要である.ただし,言語を構成する要素がそろったとしても,そこから体系としての言語が立ち上がるためには,ある種の飛躍が必要である.
研究者の立場から研究不正を考える,
第8回研究推進セミナー・第2回研究倫理啓発セミナー「研究者の立場から研究不正を考える」, 2017年3月. 山口 裕之 :
『人をつなぐ対話の技術』から学ぶ組合活動,
全国大学高専教職員組合・書記の会, 2017年2月.- (要約)
- これまでの労働組合活動の経験をもとに,著書『人をつなぐ対話の技術』で取り上げた「意見を異にする相手との対話の技術」について講演した.また,民主主義とは多数決ではなく対話による合意形成であることを,哲学史的背景に触れつつ論証した.結論として,今後大学が果たすべき役割が,意見を異にする相手と対話する技術の教育,及び教員間の連帯の形成であることを主張した.
学部共通科目「科学と人間」授業改善の試み,
中国・四国地区大学教育研究会, Vol.63, 2015年6月.- (要約)
- 大人数・オムニバスの授業を有意義なものとするための方法として,以下の8項目を提案した.1)教員を一本釣りしてくる.2)パワーポイントの活用.3)マークシートの活用(出席・小テスト・コメント).4)ウェブページの活用.5)学生のコメントに毎回マメに応答する.6)パソコンメールを使わせる.7)学生をディスカッションに参加させる.8)マークシートによる合計15回の小テストを中心に成績評価.
シンポジウム「ディドロ生誕300周年」,
日仏哲学会2012年秋季研究大会, 2012年9月.- (要約)
- フランス啓蒙思想・百科全書派を代表する哲学者ディドロの生誕300周年に寄せて,ディドロの思想をとらえなおすシンポジウムを企画,実施した.
言語学についての哲学的考察序説,
日本フランス語フランス文学会, 2011年10月. 山口 裕之 :
コンディヤックの視覚論, --- 「知覚の成立」の議論は一体何を論じているのか? ---,
哲学会大会, 2009年11月.- (要約)
- 17世紀から18世紀にかけての経験論哲学では「知覚の成立」が盛んに論じられた.典型的な話題に「モリヌークス問題」がある.そうした議論における中心人物でありながら日本ではあまり知られていないコンディヤックの議論をロック,バークリらとの対比で紹介しつつ,当時の知覚論の多義性を分析し,その後の実証主義的科学への流れを明らかにした.知覚の成立において神の関与を重視するマルブランシュとバークリの後を受けて,不可知な神や物自体を理論体系から排除することで,近代科学の思考法が成立する.コンディヤックの理論はその流れを印付けるものであった.
フランス科学認識論の現代的展開,
2006年3月. 山口 裕之 :
コンディヤックにおける起源の問題,
哲学会大会, Vol.39, 2000年11月.- (要約)
- コンディヤックは,デカルトら従来の哲学者の体系を抽象的であると批判し,ニュートン物理学の体系を「事実に基づく体系」として称揚する.後者が「事実に基づく」とされるのは,実験によって確証されるからである.コンディヤックの議論の眼目は,そうした物理学をモデルとして,人間精神に関する理論モデルを構築することにあることを示した.
- (キーワード)
- 哲学 (philosophy) / コンディヤック / 起源 / デカルト / ニュートン
科学的知識の客観性と間主観性,
日本哲学会大会, Vol.59, 2000年5月.- (要約)
- 『哲学』52所収の同名の論文のもとになった学会発表.「サイエンスウォーズ」におけるソーカルの主張を手掛かりに,科学理論には「自然の表象」という側面と,「科学研究を律する共同規範」という二つの側面があることを指摘した.理論は反復的に適用可能な知識の体系であるが,この場合,何を「同じもの」ないし「同じ操作」と見なすかという点に研究者の側の関心が反映される.
- (キーワード)
- 哲学 (philosophy) / サイエンスウォーズ
- 研究会・報告書
- 山口 裕之 :
日本総中間管理職,
理(コトワリ), No.47, 2-3, 2017年3月.- (要約)
- およそすべての日本の政府組織は,決定権限がなく,上から言われたことを実現する「中間管理職」である.総理大臣でさえ,アメリカの意向を受けて行動しているように思われる.そうした状況を「日本総中間管理職」と呼ぶことを提唱した.
酒井智弘著『トートロジーの意味を構築する』書評,
図書新聞, No.3099, 2013年2月.- (要約)
- 酒井智弘『トートロジーの意味を構築する』で酒井氏は「トートロジーは二度目の命名行為である」「言葉の意味は使用によって規定されていく」という二つの観点から従来の言語学におけるトートロジー論を批判している.その議論の有効性と射程を検討した.
隙間について哲学は何を語りうるか,
高等研報告書「隙間∼自然・人間・社会の現象学∼」, Vol.0708, 17-20, 京都, 2008年8月. 山口 裕之 :
徳島大学倫理委員会設立経緯の調査·インタビュー,
平成15·16·17年度科学研究費補助金(基盤研究B1)(課題番号15320008)平成16年度研究成果報告書「生命科学·生命技術の進展に対応した理論と倫理と科学技術社会論の開発研究」, 1-52, 京都, 2005年3月.- (要約)
- 徳島大学医学部倫理委員会は,日本初の「倫理委員会」として知られているが,その設立の経緯についてはよく知られていない.今回はその設立について教授会議事録などの資料を調査の上,設立に関わった森崇英元教授らにインタビューを行った. 倫理委員会の制度はアメリカを起源とするものであり,日本の倫理委員会はその輸入によって成立したというのが従来の常識的な考えである.しかし今回の調査で,アメリカの倫理委員会が人体実験に対する反省から被験者保護を主要な目的として設置されたものであるのに対し,徳島大学の倫理委員会が,体外受精という新しい医療技術を日本に定着させるために,社会的合意を形成する手段として構想されたことを明らかにすることができた. アメリカを起源とする「生命倫理」の,日本における受容と変容について,その具体的な有様の一端を明らかにすることができた点で,有意義な研究であったと考えられる.
- (キーワード)
- 生命倫理 (bioethics) / 徳島 (Tokushima) / 史学 (history)
意識を科学的に研究するためには,意識を何だと考えなくてはならないか,
平成15年度科研費研究成果報告書(課題番号15320008)「生命科学·生命技術の進展に対応した理論と倫理と科学技術社会論の開発研究」, 56-66, 京都, 2004年3月.- (要約)
- 科学的=客観的·外在的に意識を研究するためには,意識を「私が存在しているという感じ」などの主観的経験と考えることはできない.意識の働きのうち,客観的·外在的に推定可能であり,操作的に再現可能な側面として,「行動と知覚における一般性の設定」について研究するべきであろう.また,意識を客観的に研究するとは,他者の意識を研究することに他ならず,それがなされるためには,観察者としての「私」が設定した一般性と,観察対象としての他者が設定した一般性とが共有されていなくてはならない.そうした共有は,自他の間の共同作業,すなわち行動と目的における同一性が確認された行動によって達成される.
- (キーワード)
- 哲学 (philosophy) / 意識 / 科学論
長野県農村部における食文化の変化, --- 昭和16年と平成13年の聞き取り調査の比較から ---,
2002年.
- 特許
- 研究者総覧に該当データはありませんでした。
- 作品
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- 補助金・競争的資金
- フランス科学文化論の歴史的展開及び現代的意義に関する思想史的・哲学的包括的研究 (研究課題/領域番号: 17320003 )
生命科学・生命技術の進展に対応した理論と倫理と科学技術社会論の開発研究 (研究課題/領域番号: 15320008 )
研究者番号(20380123)による検索
- その他
- 研究者総覧に該当データはありませんでした。
2024年12月20日更新
- 専門分野・研究分野
- 哲学 (Philosophy)
- 所属学会・所属協会
- 日本哲学会
日仏哲学会
哲学会 - 委員歴・役員歴
- 研究者総覧に該当データはありませんでした。
- 受賞
- 2003年7月, 渋沢クローデル賞 (財団法人 日仏会館)
2020年2月, 康楽賞 (財団法人 三木康楽会) - 活動
- 教務委員会委員 (2005年4月〜)
総合科学部人間科学分野における研究倫理審査委員会委員 (2005年4月〜)
2024年12月22日更新
2024年12月21日更新
Jグローバル
- Jグローバル最終確認日
- 2024/12/21 01:29
- 氏名(漢字)
- 山口 裕之
- 氏名(フリガナ)
- ヤマグチ ヒロユキ
- 氏名(英字)
- Yamaguchi Hiroyuki
- 所属機関
- 徳島大学 教授
リサーチマップ
- researchmap最終確認日
- 2024/12/22 02:37
- 氏名(漢字)
- 山口 裕之
- 氏名(フリガナ)
- ヤマグチ ヒロユキ
- 氏名(英字)
- Yamaguchi Hiroyuki
- プロフィール
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- 登録日時
- 2010/10/22 00:00
- 更新日時
- 2024/1/30 21:11
- アバター画像URI
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- ハンドル
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- eメール
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- eメール(その他)
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- 携帯メール
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- 性別
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- 没年月日
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- 所属ID
- 0344009000
- 所属
- 徳島大学
- 部署
- 総合科学部
- 職名
- 教授
- 学位
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- 学位授与機関
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- URL
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- 科研費研究者番号
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- Google Analytics ID
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- ORCID ID
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- その他の所属ID
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- その他の所属名
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- その他の所属 部署
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- その他の所属 職名
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- 最近のエントリー
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- Read会員ID
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- 経歴
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- 受賞
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- Misc
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- 論文
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- 講演・口頭発表等
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- 書籍等出版物
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- 研究キーワード
- 研究分野
- 所属学協会
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- 担当経験のある科目
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- その他
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- Works
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- 特許
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- 学歴
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- 委員歴
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- 社会貢献活動
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2024年12月21日更新
- 研究者番号
- 20380123
- 所属(現在)
- 2024/4/1 : 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(社会総合科学域), 教授
- 所属(過去の研究課題
情報に基づく)*注記 - 2007/4/1 : 徳島大学, 総合科学部, 准教授
2005/4/1 – 2006/4/1 : 徳島大学, 総合科学部, 助教授
- 審査区分/研究分野
-
研究代表者以外
人文社会系 / 人文学 / 哲学 / 哲学・倫理学
- キーワード
-
研究代表者以外
哲学 / 科学技術社会論 / 生命理論 / 生態学 / 生命倫理学 / 生命科学・生命技術 / 倫理委員会 / 環境と生態 / 生命倫理 / 環境論 / Philosophy / STS / Biosystem / Ecology / Bioethics / フランス科学文化論 / エピステモロジー / フランス生命思想 / フランス心理学思想 / epistemology / French views of life / psychological thoughts in France / philosophy of science
研究課題
研究成果
共同研究者