研究シーズの概要
高齢者や障がい者の方が安心して暮らせる居住環境とはどのようなものかについて研究しています。高齢者の地域生活支援の現場では地域住民によるボランティアや相互扶助などの互助的サービスの潜在的資源を発掘し、介護関連サービスと連携させて「地域ケア」を構築することが求められています。研究では、先進的な地域ケアに取り組んでいる福岡県大牟田市を事例として、小規模多機能サービス拠点併設型の地域交流施設が地域ケアの構築において果たす役割について検討しました。今回、調査対象としたA施設は交流活動が活溌で、地域組織と連携しながら高齢者のケアに取り組んでいるのに対し、B施設はそうしたつながりが乏しい施設です。調査の結果、A施設(図1)は、民生委員や公民館、班長などの地域組織と連携が取れており、地域交流施設で高齢者と地域住民の双方が参加しやすい活動が可能であり、行事等に参加した住民と協力して新たな行事を企画していました。一方、B施設(図2)では地域組織との連携が上手く取れていないため、活動内容に地域住民の声を反映させることができず、イベント等の参加者が十分に集まらず交流活動を継続して行えていないことがうかがえました。A施設のような地域交流施設は地域社会と高齢者ケアを結びつける役割を有することが明らかとなり、今後の活用が期待されます。