研究シーズの概要
医療施設でX線CT検査を受けると身体を輪切りにしたときの断層画像(CT画像)が得られます。そのCT画像は、撮影されたX線データに対して数学的理論に基づいた計算を行うことによって作成されています。これをCT画像再構成といいます。CT画像再構成法は、フーリエ変換を利用する方法と、差分方程式や微分方程式を利用する方法に大別されます。現在のX線CT検査装置で広く使用されている前者の方法に対して、後者の方法は、CT画像再構成に長時間を要するものの、X線の照射線量を少なくして撮影した場合でもアーチファクト(*)の少ないCT画像を再構成できるという特長があります。すなわち、それら方程式を効率的に解く方法を開発すれば、X線CT検査における医療被曝量低減に貢献することができます。
本研究では、電子回路、数値計算、機械学習を専門とする研究者らでチームを構成し、GPUや専用電子回路(アナログデジタル混在回路やFPGA)などの高速演算ハードウェアの利用、高速数値演算法の開発、機械学習の利用などのさまざまな観点から、低線量撮影下でも画質の良いCT画像を効率的に再構成できる手法の開発に取り組んでいます。なお、本研究は、JSPS科研費JP17H01816などの助成を受けて行っています。
(*)アーチファクトとは、再構成によって人工的に生じる画像の歪みやノイズを意味します。