研究シーズの概要
空間経済学は、経済学の応用の一分野で、距離や輸送費といった空間的要素が経済活動に及ぼす影響を研究しています。具体的には、都市の形成の様態、国・地域間の貿易の様態、都市内における居住地選択といったことを、主に数理的・数値的・統計的に分析しています。
福村研究室では現在、次のようなことに関して理論分析を中心に研究しています。輸送技術の向上がもたらす輸送費の低下による貿易の拡大や、社会での技術進歩により、能力のある人・ない人との間で所得の格差が広がることが知られています。そういった場合に、現在の経済の状況や、将来の市場規模を決める子供の数などに及ぼす影響について調べています。
主要な結果としては、格差の広がりとともに経済規模が大きくなり、それにつれてある閾値までは出生数も増加します。しかし、それを越えると、子供の数が少ない人の割合が増えることで出生数は減少するという結果が得られました。また過去には、寿命の延びと人口動態と市場の規模に関して、日米の移民数の違いに着目した研究も共同で行っています。
加えて、空間地理情報を活用した研究に関しても行っていますので、そういった情報の利活用に興味があれば、相談していただければと思います。
図1 15歳時点の平均寿命から計算したモデル上の生存率の日米間の違い
図2 生存率が仮想的に米国の値をとった場合の日本の人口や経済規模への影響の例 出典:Fukumura et al."Demographics,Immigration,and Market Size,"Japanese Economic