リサーチユニットとしての目的
愛媛県は炭素繊維(carbon fiber; CF)の世界的な製造・開発拠点を有する。このような地域産業の特色を背景として,本RUの設置目的を以下の通りとする:
- 「炭素繊維」を用いた革新的複合材料(炭素繊維複合材料)の開発を行う学術研究拠点を形成する。
- 愛媛県及び地域企業との共同研究を推進することにより,地域の産業創出と高度技術人材に貢献する。
- 他のRUとの連携を強化し,炭素繊維複合材料を含む「ものづくり拠点」を形成する。
今後の活動計画概要
今後の研究課題として,CFRPの成形法と評価法の確立に焦点を絞った以下の研究を行う。
- CFRPの成形モニタリング手法の開発:光ファイバーセンサーと超音波を用いて,成形硬化中のひずみ,硬化度,弾性率を測定する。これを数理モデルと組み合わせることにより,自動車や航空機のCFRP部材の成形後の形状を予測することが可能となる。
- CFRPの非破壊評価技術の開発:超音波(光超音波,ガイド波,フェーズドアレイなど)と渦電流および電気インピーダンスを利用した非破壊評価法・物性評価法を確立する。これにより今後需要の高まるCFRP部材の品質評価法を産業界に提供する。
- CFRPの防湿層形成技術の開発と評価:CFRP表面に防湿層を形成する技術を開発し,反射鏡としての評価を行う。これによりCFRPを複雑形状の光学素子に適用できる。
さらに,本RUの中長期的な目標として,複数RU横断型の「ものづくり拠点」を作ることを掲げる。今後の3年間では,これまでに本RU内で培われた産官学ネットワークを水平展開し,他のRUおよび関係部局を横断した連携を強化することによって,炭素繊維複合材料に限らない「ものづくり」に関する学術拠点の萌芽を形成する。これにより,ものづくりシーズの創成並びに地域の産業振興と人材育成を通した地域貢献を推進する。(図1参照)
図1 炭素繊維複合材料研究ユニットとものづくり拠点(仮称)