トップ注目研究生活習慣病によって脂肪組織と血管壁に生じる慢性炎症の機序の解明と新規治療法の開発(佐田政隆)
カテゴリー 医学、基礎
代表研究者 佐田 政隆
関連する研究者   松本 満   阪上 浩
北川 哲也
  堀川 一樹
研究概要

動脈硬化は血管壁、メタボリックシンドロームは脂肪組織における慢性炎症を基盤とすること明らかとなった。しかし、生活習慣病が無菌的慢性炎症を惹起する機序は不明である。
Toll‒like receptor 9 (TLR9)は、病原体由来の非メチル化CpG DNAを認識する病原体センサーの一つであるが、自己由来遊離核酸断片(cell free DNA, cfDNA)も認識することが報告された。申請者らは、動脈硬化病変ならびに心臓周囲脂肪組織に、マクロファージが浸潤し、各種TLRなどを発現していることを見出した。また、過栄養の状態で、肥大化脂肪細胞が細胞死を起こしcfDNAの濃が上昇すること、死細胞の周りにマクロファージが浸潤すること、TLR9欠損マウスでは肥満に伴う脂肪組織の炎症が減弱しており、肥満に伴うインスリン抵抗性が生じにくいことを報告して、国内外で注目されている。
そこで、本研究クラスターでは、循環器内科、外科、免疫、イメージングの専門家が連携し、生活習慣病によって、脂肪組織や動脈壁で慢性炎症が惹起される機序を検討する。死細胞から放出される核酸や脂肪酸などの物質に注目し、炎症細胞を活性化する分子機序を明らかにする。特に、cfDNAに注目して、どのようにして慢性炎症の原因になっているかを臨床材料やイメージング技術を用いて明らかにする。さらには、細胞死を抑制したり、鍵となる分子を阻害することで生活習慣病による脂肪組織や動脈壁における慢性炎症を制御する新規治療法の開発を図る

 

研究クラスターNo.1803002
https://cluster.tokushima-u.ac.jp/new-cluster-list/675.html

研究者の役割分担 佐田は、研究の総括、マウスを用いた動物実験、細胞実験を行う。
松本は、免疫細胞の活性化、ネットワーク解析を行う。
阪上は、肥満による脂肪組織の炎症の機序、メタボリックケージを用いた代謝解析を行う。
堀川は、生活習慣病でコレステロール結晶や尿酸によってインフラマソームが活性される過程の可視化を図る。
研究期間 2018年4月1日〜2021年3月31日
産業界へのメッセージ 糖尿病などの生活習慣病は、脂肪組織や血管壁に無菌的慢性炎症を起こして、動脈硬化を生じさせます。そのメカニズムを明らかにして、新しい治療法の開発を目指します。

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